皆さんは普段どんな音楽を聴いていますか?

僕はJAZZ、BOSSA NOVA、ROCK、AOR、R&B、NEO SOUL、などなどブラックミュージック(黒人文化由来の音楽。グルーブが強く少しリズムが跳ねている)が多いです。

そんな中でも僕は普段JAZZを演奏する機会が多いので今回はジャズという音楽について書いていこうと思います。

<目次>

1_ジャズってどんな音楽?

2_ブルースとは?

▼精神的な意味でのブルースとは、、

▼音楽理論的な定義としてのブルースは、、

3_西洋音楽:クラシックとは?

4_JAZZの誕生

5_私たちの生活に溶け込む現代のジャズ

1_ジャズってどんな音楽?

ジャズって聞くとおしゃれなバーで演奏されていたり流れていたりするちょっと難しそう音楽、というイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか?

最近ではジブリや有名なPOPSの曲がジャズアレンジで演奏されていたりします。

また2005年ごろには『SWING GIRLS』という映画が公開されました。

ジャズをやったことのない女子高生がSWING JAZZを始めるというものでこれを見てジャズの存在を知った方もいるのではないでしょうか?

また最近の漫画でも「坂道のアポロン」や「ブルー・ジャイアント」などジャズが題材にされた漫画や映画も出てきておりさらに身近になってきている印象を感じます。

僕も本業では楽器などを販売しているのですが漫画や映画の影響でサックスやトランペットを始めたい!と来店される方も増えてきているように感じます。

さてさてそんなジャズですが、ルーツを辿っていくと「ブルース(黒人による人生や労働などの歌)」と「クラシック(白人によって作られた西洋音楽)」にたどり着きます。

まずはブルースとクラシックについてざっくり学びましょう。

2_ブルースとは?

そのまた昔、「人権は白人のためのもの!」「黒人は奴隷よ!」

なんて強烈な差別が当たりまえの酷い時代があったのは皆さん学生時代に社会の授業で習いましたね。

黒人は白人の奴隷として家の使用人だったり、農耕作業のため強制労働させられていました。

▼精神的な意味でのブルースとは、、

これは諸説ありますが僕が教えられたものはこんな感じでした。

ある黒人たちが外仕事をさせられていた時、

「なんで自分たちはこんな不遇な目に会わなきゃならないんだ。。こんなに空は青い(Blue)のに。」

とやりきれないブルーな気持ちになったそうです。

これがブルースの語源(諸説あります!)です。

このブルースは労働の辛さを忘れるため作業中に「労働歌」として仲間達で歌われたりしていました。

ブルース由来の労働歌や曲名にブルースというワードが入っている曲に暗いマイナー調の曲が多いのは不平や不満、やりきれない気持ちが込められている部分が強いのです。

つらい心を和らげる、仲間と心を慰め合う(と言う表現が正しいのか?)そんな音楽だったのです。

▼音楽理論的な定義としてのブルースは、、

一般的なPOPSの音楽はメインテーマ1周分の小節数が24、32、40小節の長さでできていることが多いです。

ちなみに皆さんが知っていそうなところで言うと

スピッツのチェリーはメインテーマ1周分が24小節、空も飛べるはずは32小節の構成となっています。

曲によって違ったりするので定義はありませんが、1つのフレーズのブロックが8小節単位になっていることが多いです。

現代的なものはブレーク(音を止める)、ブリッジ(フレーズとフレーズの間に入れる短いつなぎ)、アーフタクト(フレーズの前のひっかけ)を入れたりして8小節単位ではないものもありますが昔の曲はほとんどが8小節単位でした。

では、ブルースはどうでしょうか?

ブルースには明確な決まりがあります。

ブルースは必ず「メインテーマ1周分が12小節」と言う決まりがあります。

また曲の伴奏のコード進行(和音の流れ)も決まりがあります。

 ex) F key     F7>>Bb7>>F7>>F7>>  Bb7>>Bb7>>F7>>F7>>  C7>>C7>>F7>>F7 

これがブルースの原型です。

これをベースにしてJAZZやロックのブルースはやや複雑なアレンジを施すことが多いです。

曲名にBluesやブルースとついている場合は「精神的な意味」なのか「音楽理論的な意味」なのか注意して聴いてみると面白いかもしれませんね。

3_西洋音楽:クラシックとは?

これに関して義務教育時代にちゃんと音楽の授業を聞いていた方には説明不要だと思います。

バッハやベートーベン、ラヴェルたドビュッシーなどが作った音楽のジャンルです。

そのクラシック音楽は元々を辿ると教会音楽的なフレーバーが強くなります。

中には民族音楽に焦点を当てた作品もあります。

そんな中でもバッハの確立した旋律の使い方は今の世にも生きておりジャズやメタルなどのジャンルでも生きています。

クラシックにもバロック、ロマン、印象、など細かいジャンル分けがありますがこの辺は僕の得意分野ではないのでまたいつか。。。笑

これらのことからクラシックは西洋=ヨーロッパ=白人文化の音楽であることがわかります。

特にリストやドビュッシーの和音の使い方は間違いなくジャズに影響を与えたと言っても過言ではないでしょう。

4_JAZZの誕生

これらの西洋音楽が移民と一緒にアメリカ大陸に入り込みます。

そこでクラシックがブルースと出会い混ざり合ってジャズが生まれます。

戦争の時代に軍楽隊では多くの管楽器が使われていました。

戦争が終わったりして不要になった管楽器は質屋やスラムなど売られたりゴミのように捨てられていたりしていたそうです。

そんな楽器を使ってストリートで演奏したり、葬儀などで死者を弔う際に更新しながら演奏したりし始めたのが1910年台と言われています。

そこからJAZZはダンスミュージックとして人気を博します。

デューク・エリントンやベニー・グッドマン、グレン・ミラー、カウント・ベイシーなど多くのビッグバンドがパーティーなどでスウィング・ジャズを演奏しました。

ベニー・グッドマンの定番曲の”sing sing sing”や”Don’t Mean a Thing”なんかは東京ディズニーランドでも演奏されているので耳にしたことのある方もいるでしょう。

カウント・ベイシーの”Sixteen Men Swinging”は松本人志のすべらない話のテーマ曲として有名です。

そんなSwing Jazzもテレビなどの家庭で楽しめる娯楽の普及に伴って衰退して行きJAZZは少し形を変えます。

ダンスとセットになっていたJAZZが音楽として、時には意中の女子を口説くときの流したいPOPミュージック的な音楽の一つとして、ミュージシャンの即興の演奏を楽しむアートの一つ

として発展して行きました。

当時はロックやPOPSなどのジャンルはまだなくそれに近いものと言ってもフォークソング(民謡や牧歌)くらいなもので、ジャズが今で言うあいみょんだったり星野源のポジションにいたのです。

ジャズはミュージシャンが作った自分の曲以外にも流行りのミュージカルや映画、オペラの主題歌が多く演奏されていました。

有名どころで行くと「酒とバラの日々(映画、同題)」「虹の彼方に(オズの魔法使い)」「サマータイム(ポーギーとベス)」「いつか王子様が(白雪姫)」なんかは今でも現代のジャズミュージシャンにも多く演奏されています。

ポップス的ポジションだったジャズですが、その立ち位置も時代の流れによって変わってきます。

ジャズから生まれた「ジャイブ」やブルースから生まれた「ロカビリー」や「ロックンロール」が当時を生きる人々心の関心の中心を位置どり力を強めていきます。

世間がエルビス・プレスリーやビートルズ、ブライアン・セッツァー、ジミー・ヘンドリクス、エリック・クラプトンなどのミュージシャンにのめり込むその過程でジャズはポピュラーミュージックとしての座を次の時代の音楽に譲ることになりました。

そしてクラシック音楽と同様に過去の偉大な音楽として音楽史に殿堂入りしたのです。

5_私たちの生活に溶け込む現代のジャズ

歴史あるジャズですがその背景には白人黒人の人種差別問題や麻薬、覚醒剤の問題など黒い影が常に付き纏っていました。

当時はとても有名なJAZZの演奏家であっても肌の色が黒いという理由だけでライズハウス・バーやホテルの会場の裏口から出入りさせられたり、ホテルの宿泊を断られたり、演奏中に物を投げたれたり。それはそれは酷い仕打ちがありました。

そんな彼らの中でも心の弱い一部のジャズマンはヘロインに頼った現実逃避と精神保護に走ったのです。

それを後押ししたのは有名すぎるジャズのカリスマ、チャーリー・パーカーがドラッグに浸っていたことでした。

しかし近代に入り差別、ドラッグの問題が人々のモラルの形成により落ち着いてきます。

その頃からその黒い影の歴史と戦ってきた道徳的観点に注目されまじめます。

ジャズの帝王と呼ばれたマイルス・デイヴィスを一緒に多くの演奏を行ったピアノ、キーボードのビッグネーム、ハービー・ハンコックはユネスコ親善大使を務めており、同氏は2011年のユネスコ総会で「さまざまな歴史的問題と戦ってきたジャズは教育にふさわしい」という理由から4/30を『国際JAZZ DAY』と設定しました。

これらの観点から宗教やアートなど厳粛、高貴な流れの中で育まれてきたクラシック音楽と違い、一般市民階級のさまざまな人間味を感じられる音楽といえましょう。

ロックというジャンルがX JAPANからMONGOL 800まで幅広い曲調があるように、今を生きるジャズも幅広い曲調があります。

EGO WRAPPIN’の”色彩のブルース”や東京事変の”女の子は誰でも”などはポップ、ロックの中に存在するジャズナンバーだと僕は思っています。

中にはジャズマンが演奏するものだけがJAZZだ!とおっしゃられている方もおりますがそれはちょっと乱暴な精神論であって曲調、奏法、コード理論の観点から行くと今し方述べた曲は立派なジャズとなります。

近頃では女子ジャズというワードが生まれたほど若い女性のジャズファンが生まれています。

これは僕の見解ですが、全国チェーンの雑貨店のヴィレッジ・バンガード、そして各ジャズ漫画の影響が一番大きいと思ってます。

遊べる本屋で名高いヴィレッジバンガードへ行くとジブリの曲やポップスの名曲をジャズで演奏したものがよく流れています。(最近はK-POPに押されがちですが。)

こう言った聞きやすいジャズを普段ジャズを聴かない層へ広めていった点ではヴィレッジバンガードはジャズの普及というポイントでは大きな功績を残していると僕は思っています。

ヴィレッジバンガードの創業者である菊池氏は無類のジャズ好きだったためニューヨークのジャズバー「ヴィレッジ・バンガード」から名前をとったそうです。

1986年の開店から店内でもJAZZをBGMとして流し、自分の店でジャズのライブを行うのが夢だったそうなのでそのアイデンティティが強くしなやかに生きている様に感じます。

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ここまでツレツレと書きましたが音楽の楽しみ方はシンプル。

聴こえてきた音楽を喜怒哀楽、さまざまな意味で「良いわぁ。」と感じれるかどうか、です。

Jazzの楽しみ方も一緒です。

おしゃれなCafeやBarで流れているJAZZが耳に響いた時、少しだけジャズの歴史や文化を思い出していただけると嬉しいです。

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